郵便局が、住所をもっと便利に、ということで
「デジタルアドレス」なるものがリリースされました。
今回は、このデジタルアドレスについて考えてみます。
なお、以下は個人の見解であり、誤りも含む可能性があります。
ご了承ください。
デジタルアドレスって?
マンション名までを含む、完全な住所を、
7桁の英数字で表せる仕組みです。
(英字も使うので、7桁でも多くの住所が使えます)
利用前に、事前登録が必要です。
ABC-12D6だと、
〒100-0004
東京都千代田区大手町2丁目3-1 JPマンション301
を意味する、といったイメージです。
(サイトのサンプルのまま)
何が便利になる?
Webで入力する際、デジタルアドレスを入力すれば、
住所が自動入力できる。
紙の書類に手書きで記入する時、
デジタルアドレスを書けばOK。
引っ越ししても、発行した自分のデジタルアドレスに紐づく
住所を変更できるため、
各種サービスにデジタルアドレスを登録している場合は
変更不要となる。
・・・ということのようです。
なお、デジタルアドレスを書くだけで
郵便物・荷物を送ることはできず、
郵便番号・住所・氏名の記載が必要です。
あくまで、住所の入力を楽にするだけのコードと考えてよいでしょう。
本当に、使える・・・?
まず、受入側が対応する必要があります。
デジタルアドレスが変換できるシステム対応であったり、
紙の書類だと、運用できるフローを構築したり。
そもそも住所は煩雑です。
システムによって、市、町、マンション名などの入力切れ目もマチマチですし、
結局、入力チェックエラーにひっかかることもあるでしょう。
そもそも、デジタルアドレスを登録してまで使う人は、
PC、スマホの辞書登録で住所を設定している気がします。
良いなと思ったのは紙の書類です。
デジタルアドレスの記載だけでOKなのであれば、
これは楽だと感じます。
ただし、デジタルアドレスを書き間違えると
全く違う住所を指してしまうリスクがあるので
受入側はその場で確認するなど、運用が必要になるでしょう。
また、厄介なのが、
デジタルアドレスに紐づく住所を変更できてしまう、という点です。
記入時点の住所を残しておく必要があるケースは多く、
結局は、その場で住所を書かないと
リスクがあると感じます。
(一応、ゆうIDという郵便局のIDで紐づいてはいるのですが)
ApplePayやAmazonPayでも
アカウントに登録している住所の自動セットをすることがありますが、
経験上、うまくハマらないサイトも多い印象です。
入力してもらえばOKなものを、
システム投資してまでデジタルアドレス対応するかというと、
結構難しい気がします。
受入側に、そこまで対応してデジタルアドレスを使えるようにするかは
難しい気がします。
(投資価値が出ない)
そもそも、何度も使うECサイトでしたら
住所登録しているので自動セットされるでしょう。
便利そうではありますが、活用シーンはやや難しい感じがしますね。
そして、セキュリティリスク
住所からデジタルアドレスは逆引きできない。
そもそも、氏名などが含まれるわけではない。
最悪、すぐにデジタルアドレスを削除することができる。
ある程度の対策は考えられていると感じますが、
怖いのは、乗っ取りです。
デジタルアドレスが普及し、
色々なところでデジタルアドレスを使うようになった時。
不正アクセスされ、
デジタルアドレスに紐づく住所が勝手に変更されてしまうリスクがあります。
そうなると、例えば物を注文しても、
変更されてしまった宛先に届くことになります。
もし金融機関がデジタルアドレスを管理したとしたら、
ATMカードの発行など、変更された住所に配送されてしまいます。
(もちろん、そんな安易な仕組みにはしないと思いますが)
そう考えると、デジタルアドレスのウリとして挙げられている、
「銀行、ECサイト、学校・・・などに対して
住所変更手続きを行う必要がなくなる」
という点については、
むしろ危険性を感じてしまいます。
試みは非常にウェルカムですが、
様々な問題をはらんでいる印象も受ける
サービスかなと感じます。
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